| 基準 | センチ秒 (cs) | マイクロ秒 (µs) |
|---|---|---|
| A blink of an eye | 10 cs | 100000 µs |
| One heartbeat at rest | 83 cs | 830000 µs |
| Half of a football match | 270000 cs | 2.7 × 109 µs |
| A full day | 8640000 cs | 8.64 × 1010 µs |
センチ秒は、1 秒の 100 分の 1 にあたる時間の単位です。記号は cs です。この名称が口にされることはほとんどありませんが、それが表す量は世界でもっともなじみ深いもののひとつです。競技スポーツが結果を公表する分解能そのものだからです。
競泳、陸上競技、自転車競技、ボート、スピードスケートは、いずれも記録を 100 分の 1 秒まで公表します。この選択は恣意的ではありません。電子計時ははるかに細かい間隔まで分解できますが、競技そのものがもつ物理的な不確かさが、それより細かい数値を無意味にします。競泳では、プールのレーンの長さに許される公差の大きさから、二つのレーンが 1000 分の 1 秒の水準で効いてくるほど違いうるのです。だからこの競技は 100 分の 1 秒より下で選手を分けることを拒み、代わりに順位を分け合うメダルを授けます。
陸上競技は別の道筋から同じ結論に達します。短距離の記録は内部では 1000 分の 1 まで記録されますが、公表は 100 分の 1 までであり、しかも切り上げます。実際に走ったより速い記録が選手に付かないようにするためです。この規則により、手動計時の結果と電子計時の結果は比較できません。世界記録に全自動計時が求められるのは、両者の差が数センチ秒に達するからにほかなりません。
スポーツの外では、この単位はたいてい姿を変えて現れます。毎秒 50 コマの映像は 2 センチ秒ごとに 1 コマ進み、対話的な系で遅れが引っかかりとして感じられ始める知覚のしきい値は、およそ 10 センチ秒あたりにあります。産業用の制御ループやプログラマブルロジックコントローラーは、しばしばこの範囲の周期で動きます。機械に追いつくほど速く、計算量が安く済むほど遅い範囲です。
名称そのものは風変わりです。SI の接頭語 センチ が 秒 に付けられることはめったにないからです。ミリ と マイクロ のほうがはるかに一般的で、100 分の 1 秒が必要なときには、接頭語の付いた名を持ち出すより、人はふつうそのまま 100 分の 1 秒 と言います。
写真は 100 分の 1 前後のシャッター速度でこの量に出会います。標準的なレンズで、手ぶれが目に見えずに構えていられる、およそいちばん遅い速さです。
1 センチ秒は、0.01 秒、10 ミリ秒、10000 マイクロ秒に等しくなります。
マイクロ秒は、1 秒の 100 万分の 1、すなわち 1 ミリ秒の 1000 分の 1 にあたる時間の単位です。記号は、ギリシャ文字のミューを用いた µs で、その文字が入力しにくい場面では us という書き方も見られます。
この単位は、人の経験の境をすっかり下回っています。人が行うことも感じ取ることも、この尺度では起こりません。したがってこの単位はまるごと計測器のものです。光は 1 マイクロ秒におよそ 300 メートル進みます。サッカー場 3 面分ほどの長さであり、信号が部屋を、基板を、あるいは大陸を横切る速さに、動かしがたい下限を与えます。
衛星測位はこの単位を正確に測ることに依存しています。受信機は複数の衛星からの信号の到達時刻から自らの位置を割り出しますが、その計時が 1 マイクロ秒ずれると、位置はおよそ 300 メートル狂います。衛星が原子時計を積んでいるのも、系が相対論的な効果を補正しているのもそのためです。軌道上の時計は地上の時計より測定できるほど速く進み、その差は 1 日あたりおよそ 38 マイクロ秒です。この補正がなければ、測位は数時間のうちに キロメートル 単位でずれていきます。
電子回路はこの尺度で無理なく働きます。電力用トランジスタのスイッチング時間、レーダーのパルス幅、高速なデータ取得における標本の間隔、そしてアナログ・デジタル変換器の応答は、いずれもマイクロ秒で示されます。1 メガヘルツ で動くマイクロコントローラーは 1 マイクロ秒に 1 命令サイクルを終えるので、この単位は組み込み機器の時間管理における自然な通貨になります。
物理と化学は、速いけれども極端ではない過程にこの単位を使います。高層大気で生じるミューオンの平均寿命はおよそ 2.2 マイクロ秒であり、それが地表に届くという事実そのものが、時間の遅れの直接的な実験的証拠になっています。蛍光の減衰、気相の反応、衝撃波の現象のいくつかも、この範囲に収まります。
音響の技術は、デジタルの標本化でこの単位に出会います。毎秒 44100 標本という標準の速さでは、1 標本はおよそ 22.7 マイクロ秒続き、変換器の性能を損なう時間のゆらぎは、その何分の 1 かで測られます。
1 マイクロ秒は、0.000001 秒、0.001 ミリ秒、1000 ナノ秒に等しくなります。